だんご虫ヒーロー。



個室の病室に到着。



後はノックすればいいだけなんだけど。



心臓の鼓動がうるさくて、ノック出来ない。



この向こうに彼がいるんだ。
そう思うだけで変に緊張してしまって入れない。



ノックせずに、ゆっくりと病室の戸を開ける。



そしてひょこっと病室に顔を出す。



窓から吹き込む風が彼の黒髪をなびかせる。



根元さんの言う通り、本を読んでる。



午前中にお風呂に入ったからか、髪がサラサラしてる。



私は彼の横顔が好き。



ふっ



彼が眼鏡をとり、笑った。



「…早く入ってきたら?」



顔を出す私を見てふっと笑う。



え、バレてた?



気付かれないように戸をそっと開けたのに……


< 216 / 554 >

この作品をシェア

pagetop