だんご虫ヒーロー。
個室の病室に到着。
後はノックすればいいだけなんだけど。
心臓の鼓動がうるさくて、ノック出来ない。
この向こうに彼がいるんだ。
そう思うだけで変に緊張してしまって入れない。
ノックせずに、ゆっくりと病室の戸を開ける。
そしてひょこっと病室に顔を出す。
窓から吹き込む風が彼の黒髪をなびかせる。
根元さんの言う通り、本を読んでる。
午前中にお風呂に入ったからか、髪がサラサラしてる。
私は彼の横顔が好き。
ふっ
彼が眼鏡をとり、笑った。
「…早く入ってきたら?」
顔を出す私を見てふっと笑う。
え、バレてた?
気付かれないように戸をそっと開けたのに……