だんご虫ヒーロー。
顔が熱くなる。
バレてしまったものは仕方ない。
私は照れ笑いしながら、病室の中へと足を踏み入れた。
いつも彼に会う時はこうやって戸から顔を出すんだけど、毎回バレてしまう。
「…なんで分かったの?」
ベッド近くのイスに座る。
彼は本に栞を挟んで、真っ直ぐに私を見た。
「俺はもものことなら何でも分かるからね」
もう、いつもそう言って私の頭を撫でるんだから。
彼には敵いそうにない。
原崎 彼方(はらさき かなた)。
私の二つ上の18歳で、私の大事な彼。
元々身体が弱くて、入退院を繰り返してる。
でも元気だった頃は私みたいに困ってる人を助けてた。
私はその助けられた一人。
小さい頃はチビチビってよくいじめられてて、それを助けてくれたのが彼方。
今思うとチビって言われたくらいで泣いてた自分がすごく弱く感じる。