だんご虫ヒーロー。



にしても、先輩の元気がない。
いつも私が何か言えば何かしらツッこんだり、からかってきたりするのに。



浮かない表情で下を向いている。



綾女と先輩2人して下を向いていると、さすがに空気が重たくなる。



この重たい空気を断ち切るように、北村さんがパンと手を叩いた。



「…あ、そういえば!李ちゃん聞いたよー!彼氏いるんだって?
あたし、栗丘さんから聞いてびっくりしたよー!ね、栗丘さん?」


「……う、うん」




綾女は目を泳がせて、ぎこちなく返事をしてる。




北村さんと仲良かったんだ、綾女。
私のことを話すくらいだから、結構仲良いんだな。



でもいつの間に仲良くなったんだろう。
しかも私のことを勝手に話して…全く綾女は。



「…うん、そうなんだ。
私の生きる意味でもある、大切な人なの」



胸に手を当てて、彼方のことを思い浮かべる。



彼方の笑顔が脳裏に出てくると、自然と口角が上がってしまう。


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