だんご虫ヒーロー。
いい笑顔をしたつもりだったけど、彼方には隠しきれなくて。
彼方はふっと笑って、本を閉じた。
「…俺はこうしてももが会いに来てくれてるだけで、治療への不安が和らいでるんだよ。
だから笑いたくない時、笑えない時に、無理して笑わなくていいんだよ?」
きゅっと優しく手を持たれ、猫を撫でるように手を撫でられる。
私はまだ弱いな。
彼方に嘘がバレて、守られているようじゃまだまだ。
彼方の方が私よりも全然強い。
彼方は私の手を愛しそうに見つめ、その目つきのまま私を見た。
私はその目に導かれるままに、彼方に背を向けてベッドに座った。
「…ももは何に悩んでるの?
…もしかして前にメールで教えてくれた、"チャラ男先輩"のこと?」
彼方には何も隠し事なんて出来ないんだ。
だって私の心を読める能力を持っているから。
そう思ってしまうくらいに、彼方は私のこと何でも分かってしまう。