だんご虫ヒーロー。
私はコクリと頷いた。
彼方に先輩のことはメールでよく話してた。
チャラ男観察日記と名付けてもおかしくないくらいに、先輩のことを書いてた。
だから彼方はきっと嫌でも先輩のこと覚えてしまったに違いない。
私は今朝あったこと、先輩とのメールのことから詳しく彼方に話した。
「…それで今日ずっと先輩と話してなくて……
心に穴が空いたみたいになってる……
私には笑ってくれないのに、違う女の子には笑ってて……
なんだか胸が苦しいの……」
先輩のこと話すべきじゃなかったかな?
だって恋人の前で他の男の人の話なんてするものじゃないでしょ。
彼方に背中を向けているから、彼方が今どんな表情をしているのか分からない。
そして話し終わった後の沈黙が怖い。
チラッと彼方の様子を見たいけど、怖くて振り向けない。
やっぱ他の男の人の話をしたから、怒ってるよね?
もう、いい。
やめよう、こんな話。
「…ごめんね、彼方。
こんな他の男(ヒト)の話なんかして。
今の話は忘れて?違うはな……」