だんご虫ヒーロー。
違う話しよ?
そういい終わる前に、私の背中に何かが触れた。
それは心地よい重みがあって、安らぐ温かさがある。
「…かなた……?」
思考が停止していた頭がやっと働き出して、私の背中に触れてるのが彼方の頭だと分かった。
彼方は私の背中に寄りかかっているんだ。
「…そっか、それは先輩は悲しくなるね。
俺が先輩の立場だったら先輩と同じように、ももから遠ざかってるよ」
え、それは彼方も先輩みたいに私を避けるってこと?
意味が分からなくなってきた。
脳をフル稼働してる私を他所に、彼方は私の背中でクスクス笑ってる。
「でも俺はちょっと先輩とは違うな」
「…え、違う!?どう違うの!?」
馬鹿な私に気を遣ってくれたのか、彼方はヒントみたいなことをボソッと言う。
それを聞き逃さないように、私は彼方の方を振り向く。
彼方は私の食いつき加減が面白かったのか、またクスクスと笑ってる。
しばらく笑っていた彼方は笑いが治まると、私に顔を近付けた。
そんなに近くはないけど、突然のことにドキッとしてしまう。