だんご虫ヒーロー。
「…俺だったら逆に諦めずにそいつから奪ってやるって思うな」
「…………………」
その後にまだ言葉が続くと思って、何も言わずに彼方を見つめる。
でも待っても待っても訪れるのは沈黙で。
あれ、何も言わない……
じゃあ、これだけ?
彼方だったら諦めない?
そいつから奪ってやる?
「…全く分からないんだけど……」
残念ながら彼方のヒントは使いものにならなくて。
私の頭は余計にこんがらがっただけだった。
頭の上にはてなマークをいくつも浮かべていると、彼方はまたまた笑い出した。
「…そうだな、これは男の気持ちだから男にしか分からないかな」
男にしか分からないなら、なんで女の私に言ったのよ。
という気持ちを込めて、ぶぅっと頬を膨らませる。
正解を言ってくれてもいいじゃんか。
私がそう言っても彼方はきっと正解は教えてくれない。