だんご虫ヒーロー。



「…珍しいね。雪菜がこっちに来るなんて」



最初は驚いていた夕里だったけど、やがていつもの優しい表情になった。



まぁ、確かにこっちに遊びに来るなんて珍しいかも。



いつもは夕里と航ちゃんが私の方に遊びに来てたからね。



「…あ、えっと夕里に話があって来たの。
家にあがってもいい?」



夕里は一瞬考えてたけど、すぐにいいよと言ってくれて私は夕里の家に入った。



夕里の家に来るの、何年ぶりだろう…



小学生の時に一回だけ来たことある夕里の家は相変わらず大きい。



なんてことを考えていると、夕里の部屋へと案内された。



黒と白を基調とした、モノクロの部屋。



ちゃんと整理整頓されていて、綺麗すぎるくらい。



そして勉強机には勉強していたと思われる、開いたままの参考書があった。



「…あ、もしかして受験勉強してた?
邪魔しちゃったね……」



テーブルの上を片付けていた夕里は顔を上げて、私が見てる勉強机の上を見た。



「大丈夫だよ。そろそろ休憩しようかなって思ってたとこだったし」



ふっと笑って、夕里は私を黒い座椅子に座るように促した。


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