だんご虫ヒーロー。
マフラーとセーターは私のサイズに合わせて作ってくれて、冬の寒さには勝てそう。
早く冬になって着てるとこを彼方に見せたい。
「わぁ、すごい!私のも作って欲しい!」
嬉しそうに尻尾を振る犬みたいに、綾女は彼方の手元に食いつく。
「それで李と一緒にカバンにつける!おそろにしたい!」
綾女の無邪気な子供のような瞳に彼方はクスクスと笑ってる。
彼方の作ったキーホルダーが綾女とお揃い。
それはいいかもしれない。
「うん、いいよ。……でもこのままだと綾ちゃんのキーホルダーの綿が足りないな」
チラッと私を見る、彼方。
「…え、何その目は……」
警戒して一歩後ろへ下がる。
でも彼方の目は私を捉えたまま。
「もも、ちょっとお使い頼んでもいい?」
……やっぱり。
その笑顔は私にお願い事をするためにしてたってことか。
誰かが喜んでる顔を見るとその頼みに答えたくなってしまうのが、原崎彼方という人間。
はぁ、全く。
「…そのキーホルダーのための綿を買ってくればいいの?」
私が折れると彼方はさっきよりもいい笑顔で頷いた。
この彼方の笑顔には敵わないな。