だんご虫ヒーロー。
だいすき
こんなにも病院の廊下が長いと感じたのは、初めてかもしれない。
いつもは緊張してるから、すぐに病室に着いてしまう。
早く病室に行きたいって時に限って、廊下が長く感じる。
彼方の病室に近付くと、病室前に綾女らしき人影が見えた。
「…あ、李!こっち!早く!」
私が走ってくるのに気付いた綾女が、急かすように手招きをしている。
早く行きたいけど、もう息が苦しくて限界。
今のスピードが全速力。
やっとの思いで彼方がいる病室に到着した。
綾女は泣きすぎて目が腫れている。
私は綾女を支えながら、病室内へと入った。
病室に入ってすぐ、嘘だと思ってた光景が目の前に広がっていた。
目元に涙を溜めて、必死に彼方に声をかけてる根元さん。
ベッド周囲には泣き崩れている、彼方のお母さんとお父さん。
そしてベッドには数分前までは笑顔で私を見送っていた、彼方。
顔色が悪く、目を閉じている。