だんご虫ヒーロー。
チャラ男先輩が名前を教えてくれたから自分も名乗らないとと思ったら、北村さんと目が合い笑顔を見せた。
「…篠山李ちゃん、だよね?」
…なんでみんな、私の名前知っているんだろう。
数日前のチャラ男先輩といい、言った覚えのない人ばかりに名前を言われる気がする。
私ってそんなに知れ渡ってるのかな。
私の知れ渡ってる名前と言えば、"だんご虫"くらいだと思ってたのに。
私は何も言えずにただ頷く。
すると次の瞬間には北村さんのクリッとした二重の目が輝くものに変わった。
「わぁ、やっぱり!あたしずっと李ちゃんとお話ししたいって思ってたんだよね!」
両手を包み込まれるように握られて、ブンブンと音が出るほど勢いよく縦に振られる。
その勢いは腕が肩から取れそうなくらい。
「いじめられてる子とか助けてるんでしょ?すごいなって思ってたの!」