だんご虫ヒーロー。
綾女ちゃんの後をついて行き、辿り着いたのは非常階段の踊り場。
綾女ちゃんは壁に寄りかかって下にいる生徒達を見下ろす。
その表情からかなり深刻なことなんだと思う。
具合が悪いなんて軽いものじゃないな、これは。
「…本当は李の口から聞いた方がいいと思うんですけど、私の力じゃもう李を元気にすることは出来ないから……」
綾女ちゃんは体を小刻みに震わせて、自分を抱き締めた。
李を元気にする…?
李は今、傷ついているのか…?
しばらくの沈黙の後、綾女ちゃんは顔を上げて俺を真っ直ぐに見てきた。
「…亡くなったんです。彼方さんが」
亡くなった……?
亡くなったって死んだって意味だよな?
突然のことすぎて綾女ちゃんの言ったことの意味が一瞬、分からなくなった。
「…1週間前に李がお使いをしてる間に危篤状態になって……
李の呼びかけで1度は目を覚ましたんですけど、それ以降は……もう…目を開けなくて……」
ポタポタと綾女ちゃんの目からは涙が流れ落ちる。
堪えきれず、綾女ちゃんは口を手で押さえその場にしゃがみ込んだ。
慌てて駆け寄り、しゃがんで綾女ちゃんの肩に手を置く。