だんご虫ヒーロー。
「…でもごめんなさい。
李、今ちょっと体調悪くて部屋から出てこなくて……
せっかくここまで来てくれたのに、ごめんなさいね……」
李のお母さんは、眉をハの字にして申し訳なさそうに微笑んだ。
俺の脚にジュリエットが猫みたいに擦り寄ってくる。
綾女ちゃんが言った通り、李は部屋にこもりっきりなんだ。
一歩前に出で、李のお母さんに近付く。
「…俺は李を助けに来たんです。
李の部屋まで案内してもらってもいいですか?」
ダメだと言われたら大人しく帰るつもりだ。
でも李を助けたい気持ちに偽りはない。
その思いを知ってもらおうと李のお母さんを真剣な目つきで見つめる。
李のお母さんは目を丸くして俺を見ている。
やがてふっと笑みを浮かべて玄関へと歩き出した。
玄関の鍵を開けると、突っ立ってる俺の方を向いた。
「…普通の家ですけど、どうぞ?」
ドアを開けて微笑む、李のお母さん。
俺は軽くお辞儀をして、李の家へと入った。