だんご虫ヒーロー。



弱った李を見て、込み上げてきた気持ちは"愛"だった。



弱ってるとこを見て愛を感じるのはおかしいだろ?



でもそれしか出でこなかった。



俺の体は今、李への愛で溢れているんだ。



李を優しく包み込んで、守りたいと思う"愛"。



「…ごめんな、李。
助けに来るのが遅くなって。

辛かったよな。苦しかったよな。
李の異変に気付いてやれなくて、ごめんな」



だからもうそんな顔するなよ。



俺が傍にいるから。
ずっと李の傍から離れないから。



だからいつもみたいに笑って、強い目で俺を見てくれ。



すると震えた李の手が、ゆっくりと俺の背中に回ってきた。



服をきゅっと掴んで、俺にしがみつくように抱きついてきた。



「……う…あ……あぁぁぁぁぁ……!」



泣きながらしゃがみ込む李に合わせて、俺もその場に膝をつく。



決して抱き締める腕を離さずに。



李は声をあげて今までの想いを吐き出すように、泣いている。



それでいいんだよ、李。



全て吐き出して楽になっていいんだよ。



俺に全部ぶつけていいから。



李の苦しみ、悲しみ、全て俺が受け止めるから。



だからもうそんな空っぽな顔するなよ…



【side end】


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