だんご虫ヒーロー。
先輩。
先輩が来て、私を抱き締めてくれたってことは、私はこれからもあなたといてもいいんですか?
前みたいに"チャラ男先輩"なんて言って、からかったりしてもいいんですか?
先輩に問いかけるように、先輩を見上げる。
先輩は優しい笑みで私の頬を手で包み込んだ。
先輩の手からは心地いい温もりが伝わってきたけど、それ以上に先輩の"愛"を感じる。
って私、何言ってんだろ。
先輩からの"愛"だなんて……
生きる意味を失った私には、要らないもの。
涙が完全に出なくなるまで先輩が指や手の甲、服の裾で拭ってくれた。
そのおかげか涙はすぐに止まった。
私の涙が止まったのを確認すると、先輩はまた私をギュッと抱き締めた。
これは抱き締め返しても、いいのかな?
空っぽの私が先輩を求めても、いいのかな?
求めたところで、私が空っぽなのは変わりないんだ。
私は先輩を抱き締め返さずに、手は下ろしたままにした。
でもどうして先輩はいつも私が苦しんでる時に、駆けつけてくれるんだろう。
別に先輩のせいで傷ついたわけじゃないんだから、責任みたいなの感じなくてもいいのに。
しかも前までは先輩と私は、知り合う前の他人のように接してきた。
その出来事があったから、先輩の行動に余計分からなくなった。