だんご虫ヒーロー。



先輩。
先輩が来て、私を抱き締めてくれたってことは、私はこれからもあなたといてもいいんですか?



前みたいに"チャラ男先輩"なんて言って、からかったりしてもいいんですか?



先輩に問いかけるように、先輩を見上げる。



先輩は優しい笑みで私の頬を手で包み込んだ。




先輩の手からは心地いい温もりが伝わってきたけど、それ以上に先輩の"愛"を感じる。



って私、何言ってんだろ。
先輩からの"愛"だなんて……



生きる意味を失った私には、要らないもの。



涙が完全に出なくなるまで先輩が指や手の甲、服の裾で拭ってくれた。



そのおかげか涙はすぐに止まった。



私の涙が止まったのを確認すると、先輩はまた私をギュッと抱き締めた。



これは抱き締め返しても、いいのかな?



空っぽの私が先輩を求めても、いいのかな?



求めたところで、私が空っぽなのは変わりないんだ。



私は先輩を抱き締め返さずに、手は下ろしたままにした。



でもどうして先輩はいつも私が苦しんでる時に、駆けつけてくれるんだろう。



別に先輩のせいで傷ついたわけじゃないんだから、責任みたいなの感じなくてもいいのに。



しかも前までは先輩と私は、知り合う前の他人のように接してきた。



その出来事があったから、先輩の行動に余計分からなくなった。


< 297 / 554 >

この作品をシェア

pagetop