だんご虫ヒーロー。
「…どうして……どうして先輩はいつも私が助けて欲しい時に助けてくれるんですか…?」
思ったことをそのまま口にすると、私の頭を撫でていた先輩の手が止まった。
理由なんて聞く必要、なかったのかもしれない。
先輩が助けてくれたのはきっと、可哀想だからとか私に同情して助けてるんだ。
「ごめんなさい、変なこと聞いて。
今の言葉は忘れて下さい…」
先輩の胸を押し返して、先輩から離れる。
でも先輩に両肩を掴まれて、せっかく離れたのにまた引き寄せられた。
「…せ、せんぱ……」
戸惑っていると、先輩の手が肩から後頭部へと移動して更に私を引き寄せる。
そして気が付けば、私は先輩にキスされていた。
…え、なんで……?
先輩の薄い唇が私の唇に重なっている。
先輩を押し返そうとしても、体が固まってしまって動かない。
目も大きく見開いたまま。
触れるだけの長いキスが、先輩の唇が離れたことで終わった。
先輩はコツンと額を私の額にくっつけて、私を真っ直ぐに見てきた。
腰には先輩の手が回っていて、先輩から離れられない。
目線を逸らそうとしても、先輩の瞳に吸い寄せられるように捕らわれて逸らせない。
そして先輩は近距離で私を見つめ、私にだけ聞こえるように囁いた。