だんご虫ヒーロー。

……信じられない。
今起きてる、目の前のことが。



先輩が私にキスをして、なんて言った？



『李のことが好きなんだ』って言った？



私のことが好き……



「…え、それって……冗談じゃないですよね？」


「俺は軽い気持ちで"好き"なんて言わない」



先輩の目が本気であると証明している。



「い、いつから……いつから私のことを……？」



今聞くことでもないと思うけど、つい気になってしまう。



先輩に優しく頬を撫でられる。



「…李とぶつかって睨まれた時からかな？
李のあの強い目に惹かれたんだ」



綾女が勢いよく抱きついてきて、前を歩いていた先輩にぶつかった時のこと？



あれって先輩と出会ったきっかけだったよね？



じゃあ………



「…先輩は一目惚れしたってことですか？」



自分はなんてことを口走ったんだと思った。



自分に一目惚れしたんですかなんて、自意識過剰にも程がある。



「……っ…それは言っちゃダメだろ」



先輩は頬を赤く染めて、口元を手で押さえている。



て、て、照れてるの！？
嘘。冗談な感じで言ったのに。



素直に聞いた自分に恥ずかしくなって俯く。



私の顔もきっと赤くなってるんだろうなと思うくらい、熱い。