だんご虫ヒーロー。



その笑った顔は李を傷つけてるのを分かっていて罪悪感があるのか、とても苦しそうだった。



「…強くなって欲しかったんだ、ももには。
俺がいなくても生きていけるように、強く」



俺がいなくても生きていけるように……?



彼は寂しそうにニコッと笑った。



「俺は元々体が弱くて、いつ死んでもおかしくないんだ。
18まで生きてこれたのも奇跡に近いって言われたよ。

ももの傍からいつ消えてもおかしくない。
ももは昔から泣き虫でチビって言われては泣いてたんだ」



懐かしむような瞳で、窓の外を見ている。



俺はただ黙って彼を見ていた。



「俺が守らないとももはずっと泣いてた。
俺がいなくなったらまた泣き虫になってしまうんじゃないかって、心配になった。

だから俺はももと約束を作って、強くなってもらおうと思ったんだ。

ももが泣かずに生きていけるように。
上を向いて強く生きていけるように」



ギュッと両手を強く握っているのが分かった。



でもその手は若干、震えていた。



強く握っているせいなのか、死が怖いからなのか、理由は分からない。



ただ分かるのは手が震えていても、目は芯が通ったように真っ直ぐだということ。



目つきと手が矛盾してるな。


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