だんご虫ヒーロー。



原崎さんはコクリと頷いて笑った。



「…ももは確かに強くなった。
小さい頃とは比べものにならないほどに。


でも泣く時はある。
強くなったって、傷つけば誰だって辛くなって泣きたくなるんだよ。


その時に君がももの傍にいて、ももを支えて欲しいんだ。


ももが苦しんでる時、泣きそうな時、寂しそうな時、"大丈夫だよ"って声をかけてやって欲しいんだ。


俺はずっと、ももの傍にはいてあげられないから……」



彼はまた寂しそうにニコッと笑った。



寂しさを隠して笑顔を見せるなんて、李みたいだな。



無理してるところが兄妹だと思ってしまうほどそっくりだ。



「あと俺がもしこの世から消えたら、今言った約束の意味をももに伝えて欲しい。


俺の口から直接言うのは、ちょっと恥ずかしいから」



原崎さんは頬を少し赤く染め、照れている。



きっと李のことを思い出してるんだろうな。



李の未来のことまで考えていて、李をすごく愛しているのだと感じた。



だから俺の答えはただ一つ。



「……はい。李が例え嫌がっても、俺の全てで李を支えるつもりです」



真剣に真っ直ぐに原崎さんを見つめる。



李が好きなんだと伝えるように。



原崎さんは若干目を見開いて驚いていたけど、やがてふっと笑って上がっていたベッドに背中を預けた。



そして満足気に口角を上げたまま、目を閉じた。



【side end】


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