だんご虫ヒーロー。



「な、な、何するんですか!?い、いきなり……!」



キスされた額が熱をもつ。
額を押さえて寝転んでキョトンとしてる先輩を睨んだ。



「…何っておはようのキスだよ?
自分の彼女が目の前にいたら、普通するでしょ?」



あ、そうだよね。
恋人同士だったらキスなんて普通だよ……って。



「…か、彼女!?」



先輩が当たり前のように言うから、つい流されそうになった。



先輩は「違うの?」と言って小首を傾げている。



「てっきり昨日のあの言葉は交際を了承の意味だと思ってたけど?」



昨日のあの言葉?



あ、もしかして傍にいてくれますか?って言ったのかな?



「あ、あれはそういう意味で言ったんじゃなくて……その……」



焦りすぎてきっと顔が真っ赤なんだろうな。



体内の水分が沸騰しそうな勢い。



目を泳がせて必死にどういう意味なのか考えていると、頭の上にポンと手が置かれた。



顔を上げるといつの間にか起き上がっていた先輩が微笑んでいた。



「ごめんごめん、ちょっとからかってみただけだから。
返事は焦らなくていいって最初に言ったでしょ?
だから今は無理して考えなくていいよ」



ね?
先輩はニコッと笑って小首を傾げた。



からかってみただけだからって言われてちょっと落ち込んだ自分がいた。



なんだ、からかっただけなんだって思っちゃった……



この気持ちは何だろう……?


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