だんご虫ヒーロー。
「ん〜。やっぱ朝早くの散歩は気持ちいいな。な、ジュリエット!」
先輩が篠山家の愛犬、ジュリエットに笑いかけた。
ジュリエットは「ワン!」と元気よく吠えた。
ジュリエットは見知らぬ人には警戒して吠えるのに、先輩には吠えなかった。
先輩ってやっぱ何者なんだろう…
チャラいだけじゃない気がしてきた。
今はジュリエットの散歩をしに河川敷を先輩と歩いている。
先輩はジュリエットを気に入ったみたいで、私の少し先をジュリエットの紐を持って歩いてる。
私はゆっくりと歩きながら先輩の背中を見つめる。
先輩を見る度、先輩の告白を思い出してしまう。
先輩は私のことを好きと言ってくれた。
後輩としてじゃなくて、1人の女として。
私を今まで助けてくれたのは、先輩が優しくていい人だからだと思ってた。
見ててほっとけないからだって思ってた。
でもそれは私が好きだから助けてくれてたってことでしょ?
前を歩く先輩の笑顔にドキッとする。