だんご虫ヒーロー。



「ん〜。やっぱ朝早くの散歩は気持ちいいな。な、ジュリエット!」



先輩が篠山家の愛犬、ジュリエットに笑いかけた。



ジュリエットは「ワン!」と元気よく吠えた。



ジュリエットは見知らぬ人には警戒して吠えるのに、先輩には吠えなかった。



先輩ってやっぱ何者なんだろう…



チャラいだけじゃない気がしてきた。



今はジュリエットの散歩をしに河川敷を先輩と歩いている。
先輩はジュリエットを気に入ったみたいで、私の少し先をジュリエットの紐を持って歩いてる。



私はゆっくりと歩きながら先輩の背中を見つめる。



先輩を見る度、先輩の告白を思い出してしまう。



先輩は私のことを好きと言ってくれた。



後輩としてじゃなくて、1人の女として。



私を今まで助けてくれたのは、先輩が優しくていい人だからだと思ってた。



見ててほっとけないからだって思ってた。



でもそれは私が好きだから助けてくれてたってことでしょ?



前を歩く先輩の笑顔にドキッとする。


< 317 / 554 >

この作品をシェア

pagetop