だんご虫ヒーロー。

『…好きっていうのはね？
ずっと自分の傍にいて欲しいって思ったり、離れたくないって思うことだよ。

この人といれば、自分らしくいることが出来る。
それも好きってことかな』



彼方が前にこう言ってた。



自分らしくいることが出来る。



綾女の前でさえあまり見せない涙を、先輩の前ではたくさん流してきた。



自分の思ったことや感情を隠さずに、先輩にだけはさらけ出していた。



先輩の前だけはありのままの自分でいられた。



ありのままの自分でいられたことで、先輩の傍は心地よくて好きだった。



もしかして……これが好き…？



私……好きだったんだ、ずっと前から先輩のこと。



彼方という大切な人がいたから気付かなかった。



私は今まで彼方がいたからって先輩への気持ちを押し殺してたってこと？



もちろん私にとっては彼方が一番だった。



彼方の前ではありのままでいられたし、離れたくないって思った。



でも今はその彼方はいない。