だんご虫ヒーロー。



北村さん、朝見た時はいじめられてる感じしなかった。



むしろすごく明るくて素直ないい子という印象があった。



いじめられてるなんて気付かなかった。



ただでさえ、私はヒーローぶってるだんご虫って呼ばれてるのに。



そんなことにも気付けないなんて…



でも今ならまだ間に合うかもしれない。



守らなくちゃ、約束を。
あの人と交わした約束を。



『困ってる人がいたら、助けてあげてね?』



そうだ、約束。



「…助けなくちゃ…」


「あっ…李!?」



それだけ呟くと、綾女の言葉に見向きもせずに廊下を駆け出した。


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