だんご虫ヒーロー。
彼方への罪悪感の涙と、先輩が好きだったんだという嬉しい気持ちが葛藤している。
泣いてる私を心配してくれてるのか、ジュリエットは私の脚にピッタリとくっついて地面に座った。
ジュリエットの鼻先に涙が落ちる。
自分がこんなにも最低だと思ったのは初めてだ。
すると先輩が一歩、私に近付いてきた。
「…李。顔を上げて?」
出来ない。
一途に私を想ってくれてた先輩に、彼方と先輩の2人を好きになっていた最低な私が先輩を見つめる資格なんてない。
口元を押さえて首を横に振る。
すると先輩が両手で私の頬を包み込み、無理やり上を向かされる。
涙でグシャグシャの私を真っ直ぐに見つめる、先輩。
「…今回はいいんだよとは簡単に言えない。
でも俺は今の李の気持ちを、押し殺さないで欲しい。
その気持ちを消してしまったら、また本当の気持ちに気付けなくなってしまう。
だから俺に聞かせて?李の本当の気持ち」
「…本当の………気持ち……?」
先輩は優しく微笑み、親指で私の涙を拭う。
……そうだ。
溢れるこの気持ちを抑えてしまったら、また以前の私に戻ってしまう。
決めたじゃない。
殻を破って前に進むって。
先輩の傍で羽ばたくって。
伝えるんだ、この溢れる先輩への気持ちを。