だんご虫ヒーロー。



涙を拭き終わると先輩の目も自然と開いた。



「…ねぇ、李?」


「…なんですか?」



先輩は微笑んで私の名前を呼んだ。
私は首を傾げて先輩を見つめる。



先輩はジュリエットの紐を持って、私から数メートル後ろに下がった。



何がしたいの?



先輩の行動が理解出来なかった。



先輩はふっと笑うと、両手を広げた。



「…俺のこと好きだったらさ、俺のこと名前で呼んで抱きついてよ?」



……なに言ってんだ、このチャラ男。



そんなの恥ずかし過ぎて出来るわけない。それに…



「…さっき私、言いましたよね?」



先輩の目を見つめて、先輩を好きだとさっき言ったばかりなのに…



「…うん、言ったよ。
でも李からの愛が欲しいんだ」



この人は愛とか好きだとか簡単に言ってしまう。



愛が欲しいとか言って、本当は好きだということを行動に移せって言ってるんでしょ?



愛という言葉で私を釣ろうとしてる、チャラ男先輩。


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