だんご虫ヒーロー。
【side 夕里】
……好きです。夕里先輩のことが前からずっと、好きです。
李が俺のことが好きだと聞いて、嬉しかった。
でもこれはもしかしたら夢なのかもしれない。
夢だと思いたくなくて、李に自分から抱き締めさせて、俺の名前を呼ばせた。
夢じゃないんだよな。
李の唇にキスをして、その考えはやっとそうなんだと理解できた。
李のことを抱き締めながら思い出すのは、原崎さんから言われた言葉。
李に約束の意味を伝えたけど、その後には続きがあって。
全ての話を聞き終わった後。
『…芹田くんは李のことをすごく大切に思ってくれてるんだね』
どう答えたらいいのか一瞬悩んだけど、俺は諦めないって決めたから。
「…はい。どれだけ大切なものがあっても、一番なのは李です」
俺がそう言うと、原崎さんは『そっか』と満足そうに微笑んだ。
そして次には真っ直ぐに俺を見つめた
『…じゃあ、俺と約束して欲しい。
この先どんなことがあっても、ももの傍に、ももがすぐに手を差し伸べられるところにいてあげて』
好きなんでしょ?もものこと。
彼には俺が李のことが好きだということもお見通しだったらしい。
そのことに何も言えずにいると、原崎さんは微笑んで窓の外を見た。
『…もも(あの子)、強いように見えるけど、人一倍傷つきやすい。
俺がいなくなった世界で、ももが傷ついて、苦しむ姿は見たくないんだ。
ももには笑顔が一番似合うから』
"ももがずっと笑顔でいること、それが俺の一生の願いかな?"