だんご虫ヒーロー。



【side 綾女】



『…助けなくちゃ…』



そう李が呟いたのが聞こえた。



どうしてタイミング悪く教室を出ちゃったんだろう。



もっと早く出ていたら李があの話を聞かずに一緒に帰れたの?
もっと遅く出ていたら李があの話を聞かずに帰れたの?



止まってしまった足を動かして李の後を追いかけた。



ねぇ、李。
どうしてそんなにヒトのために自分を犠牲にできるの?



私にはそんな勇気どこにもないよ。



ヒトのことより自分のことで精一杯だよ。



今まで李は自分のことよりもヒトのことを優先してきた。



でもそれで傷つく李の姿、私たくさん見てきたんだよ?



『これくらい平気』って口では言ってたけど、影で色々言われたりして辛そうにしてるの私知ってるんだよ?


< 33 / 554 >

この作品をシェア

pagetop