だんご虫ヒーロー。
「…それでさっき脅されてって言ってたけど、綾女ちゃんは誰に脅されて俺と李を引き離したの?」
夕里は私の背後から綾女を見る。
単刀直入に聞かれて、綾女はちょっと戸惑っていたけどやがて口を開いた。
「…李が気を付けてって言ってた先輩達、武井りか先輩、徳永早苗先輩、時田花織先輩の3人です。
それと……北村さんに……」
「…え、北村さん……?」
綾女は確かに北村さんと言った。
あの3人の先輩達ならあり得るかもしれないけど、北村さんが出てくると思わなかった。
「…紗奈が……?綾女ちゃんを脅したのか……?」
夕里も突然のことで驚いている。
身近な人がそんなことしてたなんて聞かされたら、誰だって驚く。
「…どうして…あの北村さんが……?
北村さんあの3人の先輩達にいじめられてたのに…」
「…それは自作自演だって言ってた。
元からあの4人はグルで、あのペンキのことだって仕組まれてたの」
じゃあ、私があの時北村さんを助けに入ったのは全て計算内ってこと?
髪を犠牲にして助けたのは、無駄だったの……?
頭が悪い方向へと考えてしまう。
でもこれが正しいだなんて、信じたくない。
「……北村さんは私の過去(こと)を調べて、それを使って脅してきた。
李と芹田先輩を引き離せって……
特に芹田先輩を傷つけて、その方が夕里を慰れられるからって……
もしこのことを李達に言えば、私の過去(こと)が書かれた紙を屋上からばら撒くって……」