だんご虫ヒーロー。



え、それって……



「今私達に言ってるのバレたら、綾女の過去がばら撒かれるの……?」



私がそう言えば、綾女は苦笑いをして私を見た。



どうして自分が傷つくって分かってて、私達に伝えてくれたの?



やだ。綾女がまたあの時みたいに傷つくなんて。



見ていられないよ……



「…大丈夫だよ、李。もう大丈夫だから。
決めたの。何があろうと、李みたいに自分の道を行こうって。
誰に何言われようが、気にせずに真っ直ぐ生きていくって」



李と先輩には幸せになって欲しいから。
綾女は困ったように眉を下げて笑顔を見せた。



綾女はそう言うけど、周りの目を気にしないで生きるってかなり勇気がいる。



私には彼方との約束があったからそれを全うしてたけど、綾女は違う。



綾女には約束も何もない。



周りを気にしないでいても、一度つまずいてしまうと聞こえてくる陰口。



そしたらまた綾女はきっと中学の時みたいにしてしまうかもしれない。



でも綾女が自分で決めたことなら、私は何も言えない。


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