だんご虫ヒーロー。
「……李?」
我に返ると、受験勉強をしていた夕里が心配そうに私の顔を覗き込んできた。
綾女と別れてからそのまま夕里の家に連れて行かれた。
夕里が机に向かって受験勉強してるときに、私はベッドに体育座りして考え事をしていた。
何も話さない私を気にして夕里は声をかけてくれたんだ。
「…ご、ごめんなさい。心配させてしまって……
私のことは気にせずに、勉強してていいですから」
ニコッと笑ってみせる。
夕里はもうすぐ受験が控えてる。
そんな時に私のことなんかに気をとられて勉強を疎かになって欲しくない。
でも夕里は私をほっとくわけがなくて。
夕里はイスから立ち上がってベッドに座ると、私に手招きをした。
私はじっと夕里を見つめてから、ゆっくりと夕里の隣に座った。
すると夕里は私の頭を引き寄せて、胸にくっつけてきた。
「……李がそんな悲しい顔してたら、俺だって悲しいんだ。
だから無理して笑わなくていいよ。
綾女ちゃんが言ったこと考えてたんでしょ?」
夕里には隠し事出来ないな。
私は夕里に寄り添って、コクリと頷く。
「…北村さんが裏で手を回してたっていうのが未だに信じられなくて…
あの先輩達もどうして北村さんに手を貸しているのか…謎だらけで……
あの4人に何があってああいうことをしているのか気になってるんです…」
北村さんはきっと夕里を傍に置いておきたくて、自作自演をしたのかもしれない。
彼女はずっと、夕里のことが好きだったから。