だんご虫ヒーロー。
アンタには分からないよ
2日後。
家を出る前に部屋に編みぐるみをギュッと抱き締める。
ウサギとクマのぬいぐるみを両方抱き締める。
「……彼方、少しだけ……力を貸して」
そしてカバンに李キーホルダーを付けると、私は家を出た。
放課後に向かったのはあの事件のあった体育館裏。
なんだか変に緊張してる。
面と向かって話すのは初めてだからかな。
大きく深呼吸をしてその時を待つ。
すると……
「…へぇ、まさかアンタがアタシらを呼び出すなんてな、だんご虫」
「いい度胸してるんですけど〜」
「売られた喧嘩は買うけどね」
来た。
顔を上げるとそこには武井りか、徳永早苗、時田花織がニヤリと怪しい笑みを浮かべて立っていた。
私は夕里から話を聞いた後、武井先輩の下駄箱に体育館裏に来いという手紙を入れておいた。
無視されるのを承知で入れたけど、本当に来るなんて意外。
「…お久しぶりです、先輩方。
去年の春以来ですか?こうやって面と向かって話すのは」
負けないように強い口調で話す。
でも彼等は余裕の表情を絶やさない。
「…ハッ、あん時アンタとはまともに話してなかったけどな。
あれから髪は少し伸びたかよ?」
武井先輩が言うと他の2人はアハハッと爆笑していた。