だんご虫ヒーロー。



相変わらず口の悪い先輩方だ。



でもここで引き下がる訳にはいかない。



「…先輩方は相変わらずのようですね。
あ、この前は綾女が先輩方にお世話になったみたいで」



綾女と言えば笑っていた先輩達は表情を鋭くして私を睨む。



「…栗丘綾女……まさかあいつから全て聞いたのか?アタシらのこと」



武井先輩の声が低くなった。
その声はかなり怖くて、身を構えてしまう。



「…はい。全て聞かせてもらいました。
ペンキ事件は北村さんと先輩方による自作自演だということ。

そして先輩方は綾女を脅して私と夕里を引き離させたこと、全部」



強い目つきで武井先輩を見る。



武井先輩はしばらく私を睨んでから、口角を上げてニヤッと笑った。



「…あいつやっぱりチクったな。
いつかはアンタにチクるんじゃないかって思ってたんだよ。

アンタが芹田を名前で呼んでるってことは北村の奴、芹田をだんご虫から引き離せなかったってことか。

北村は墓穴を掘ったんだな。ハッ、笑えるわ、これは」



クスクスと北村さんを庇う様子もなく、笑っている先輩達。



そして何よりも驚いたのは先輩達の理解の早さ。



私が綾女から聞いたことを言っただけなのに、私と夕里が今どういう関係なのか北村さんが失敗したことを分かってしまった。



学年トップは本当だったんだ。


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