だんご虫ヒーロー。
「……冷めた。帰るよ、早苗、花織」
武井先輩は2人を連れて去って行った。
先輩達の姿が見えなくなると、脚の力が抜けてその場に座り込む。
あの武井先輩の表情はなんだったの…?
あれは何か理由があるんだと言ってるようなものだ。
先輩達を苦しめている理由がある。
それが分かれば、私は困ってる人を助けるだけ。
ジャリ……
数メートル先から砂を踏む音が聞こえた。
聞こえた方に視線を向ければ、そこには野球のユニフォームに身を包んだ坊主頭の少年がいた。
私とバッチリ目が合っている。
彼はしばらくジッと私を見つめると、身を翻して走り去った。
ずっと見てたのかな?
そんな疑問もスマホのバイブ音によって消え去る。
スマホを見ると『夕里』の名前が表示されている。
あ、夕里にこのことを報告するって約束をしてたんだ。
すっかり忘れてた。
私はスカートについた砂を払いながら、着信に出たーーーーーー