だんご虫ヒーロー。



「…李、あの攻撃は地味に痛かったよ」



夕里は少し足を引きずりながら私の後についてくる。



夕里がお母さんに見惚れてるからだよという思いを込めて夕里を睨む。



リビングに到着すると、すぐにお母さんはキッチンにお茶を淹れに行った。



「夕里くん、まずはママに挨拶してくれる?私はその次でいいから。李、案内してあげて?」



夕里はお母さんの言ったことが全く理解出来てないようで、ポカンと口を開けている。



そりゃそうだよ。
だってお母さんがママに挨拶してなんて言わないもんね。



「…夕里、こっちだよ」



ポカンと突っ立っている夕里の服の裾を引っ張って和室へと案内する。



夕里は引っ張られるままについてきた。



リビングと繋がっている和室の前まできて、夕里の服の裾を離す。



そして両手で襖を開けた。



「……え、これって……」



夕里を見ると、目を見開いていた。



驚くのも無理はない。



和室には"ママ"の姿はどこにもなくて、ただポツンと仏壇があるだけなのだから。


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