だんご虫ヒーロー。



「…じゃあ、俺と一緒にパリに来る?」


「え、夕里と……?」



言われて嬉しくないはずがない。



一緒に行けるのなら、夕里の近くにいたい。



でも一緒に行こうとは思わなかったのはなんでだろう?



ふっ



夕里は笑みをこぼした。



「…俺がそう言ったとしても、李は一緒には来ないでしょ?
俺には俺のやりたいことがあるように、李には李のやることがある」



そうでしょ?
夕里は小首を傾げて微笑む。



そうだ。
私にはまだここでやること、やるべきことがあるんだ。



武井先輩達を助けて、最終的には……



「……北村さんを助けたい」



彼女にだって何かあるはずなんだ。



綾女を使ってまで私と夕里を引き離したんだから。



それほどまでに夕里が必要だった訳があるんだ。


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