だんご虫ヒーロー。
紙は窓ガラスにまで貼られていて、剥がすのに時間がかかる。
しかも私の背伸びしても届きづらいとこにも貼ってある。
人生で初めて自分の背の低さを恨んだ。
高いところに背伸びをして手を伸ばす。
「…ん、……もうちょっ…と」
震えながら手を伸ばしていると、上から違う手が伸びてきて紙を簡単に取ってしまった。
え、まさか夕里が………?
恐る恐る振り返ると、そこには苦笑いして紙を持っている綾女がいた。
「…全く、李は何でも1人でやろうとしすぎだよ?
自分のことじゃないのに、無理して…」
紙を丸めて大きなゴミ袋に入れる。
どうしてここに?
綾女には言ってないのに……
すると綾女はスマホを取り出して、とあるメールを私に見せてきた。
『李が1人で綾女ちゃんを助けようとしてる。
俺は来るなって止められてるから、代わりに李を助けてくれる?』
差出人は夕里だった。
……余計なことをしてくれる。
1人で何とかするってあれほど言っといたのに。