だんご虫ヒーロー。



綾女は深く息を吸って吐く。
すると手の震えは治まってた。



そして私を見てコクリと頷いた。



それを合図に私は屋上へ行くドアを開けた。



「…おはようございます、先輩方」



ドアが開いた音に反応した武井先輩達がこっちを向いてニヤリと笑った。



やっぱり手には剥がしたのと同じ紙があった。



そして先輩達の後ろにはもう1人いた。



全ての事件の真犯人。



「……と、北村さん」



先輩達の背後にいたのはニコッと可愛らしい笑顔の北村さんがいた。



「…おはよ、李ちゃん。
随分と早起きなんだね?
あ、ヒーローは誰かのためなら朝の早起きもへっちゃらなんだ」



北村さんと初めて会って話した時と声色はそんなに変わらないけど、どこか怖い。



綾女はビクッと怖がり、私の後ろに隠れた。



私の後ろに隠れた綾女を見て、北村さんの目つきは一瞬だけ鋭くなった。



「…あれ、栗丘さんだ。
あたしとの約束も守れない口のかるーい栗丘さん?」



声が冷たい。



北村さんの笑顔が冷たい声をより一層恐怖へと誘(いざな)っている。


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