だんご虫ヒーロー。
そんな北村さんの手にも紙があった。
やっぱり綾女が私に全てを話したから、ばら撒く気だったんだ。
北村さんは視線を大きなゴミ袋に向けた。
「…へぇ、それ全部剥ぎ取ってきたんだ。
さすがヒーローはやることが違うね」
北村さんの目はさっきの笑顔とは違い、凍りつくように冷めていた。
「…それ、本当にばら撒く気なの?」
私は北村さんの持ってる紙を指差す。
北村さんは自分の持ってる紙を見て、またニコッと笑った。
「…これは栗丘さんへの罰。
あたし達のこと言わないでねって言ったのに、約束破ったから。
栗丘さんが約束破らなければこんなことにはならなかったのになー。
ね?"人殺し一家"の栗丘さん?」
「やめてっ!!」
綾女は耳を両手で塞いでその場にしゃがんだ。
私は綾女に近付き震える体をさすった。
綾女は震えているけど、泣かないようにと唇を噛んで涙を堪えている。
北村さんを睨むと、北村さんは余裕な笑みを浮かべている。
私は綾女の頭を優しく撫でると、立ち上がって北村さんの方を向いた。