だんご虫ヒーロー。
「…やめろ、紗奈」
北村さんのことを名前で呼んでる。
もしかして北村さんと仲がいいの?
「何でいっつもいっつもあたしの邪魔ばっかするかな?
ほっといてって言ってるでしょ!」
北村さんは手を振り下ろして、手首の拘束を解いた。
男子生徒は何も言わずにただジッと北村さんを見ている。
それを北村さんは睨み返して、フンッと鼻を鳴らして私の胸倉を勢いをつけて離した。
私はその反動で後ろへとよろめく。
すると綾女が私の肩を掴み、支えてくれた。
「…はぁ、一気に興ざめ。
紙をばら撒くとかやる気なくしたからもういいわ。行くわよ」
北村さんはあっさりと屋上のドアから出て行った。
男子生徒は北村さんを目で追いかけ、屋上のドアが閉まると北村さんの後を追いかけて行った。
誰だったんだろう、あの男子生徒…
何となく見たことあったから、同じ2年生の子かな。
そんなことを考えていると、今度は武井先輩達がこっちに向かって歩いてきた。
武井先輩はニヤリと笑って、紙をグシャグシャにしてコンクリートの地面に投げつけた。