だんご虫ヒーロー。
時はあっという間に放課後。
私と今日はたまたまバイトが休みだった綾女は学校近くのファミレスに来ている。
いや、来ているというよりは連行されての方が正しい。
私の前にはオムライス、綾女の前にはパスタが置かれている。
「さ、俺のおごりだから遠慮なく食べて?」
私達の向かいに座る今朝の男性は笑顔を浮かべる。
学校が終わって綾女と帰ろうと校門に向かって歩いていたら、校門にはこの男性が待っていた。
私達を見つけると一目散に走ってきた。
そして今朝の話の続きをしようと言われ、今に至る。
これって女子高生誘拐事件だよね?
知らない人に半ば強制的に連れ去られる女子高生2人。
あれ、どっちだっけ?
警察に通報するのって119だっけ?それとも110?
いざ使おうとすると焦って忘れてしまう番号。
「あ、そういえばまだ名前言ってなかったよな?」
彼はパーカーの上に着てたジャケットの内ポケットから、何かを取り出し私達に見せた。
絶句した。