だんご虫ヒーロー。



だってその人は……



「俺は警察官巡査長、根元 時雨(ねもと しぐれ)」



私が今から呼ぼうとしてた警察官だったのだから。



私達に見せてきたのは本物の警察手帳だった。



遠慮なくパスタを食べていた綾女の手が止まったかと思えば、慌てて背筋をピンと伸ばした。



私も急に緊張してしまい、自然と背筋が伸びる。



それを見た根元さんはアハハと苦笑いを浮かべた。



「そんな緊張することはない。
今日は仕事休みだし、君達に用があるのは仕事とは無関係だ」



だからリラックスして。



仕事と関係ないのならどうして警察手帳を見せたのか不思議だったけど、根元さんが見せた笑顔にとりあえずはホッと一息つく。



綾女は姿勢を元に戻すとまたパスタを食べ始めた。



私も根元さんに名前を名乗り、オムライスをいただくことにした。



根元ってどこかで聞いたことがあったけど、オムライスの美味しさにそんなこと考えてる余裕はなかった。



私達が食べ終わるまで他愛もない話をして、盛り上がった。



そして私達が食べ終わると、食後の飲み物まで根元さんは注文してくれた。



いくら警察官と言っても、この優しさなんだか怪しい。


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