だんご虫ヒーロー。



「…決めたんです。必ず武井先輩を助けるって。
根元さんについていけなくなったら遠慮なく置き去りにしていいです。

だから連れて行ってください!
私が先輩を助けなくちゃいけないんです……!」



真っ直ぐに根元さんを見つめる。



ここで事件に巻き込まれるのが、傷つくのが嫌だからって引っ込んじゃダメだ。



根元さんはしばらく私を見つめてから、やがて大きくため息をついた。



「…俺の前に絶対出ないと約束しろ」


「……はい!」



大声で返事をする。
そしてカバンを持って、根元さんの後について行く。



すると綾女に手を掴まれた。



振り返ると心配そうに私を見つめる綾女がいた。



「……李、ちゃんと帰ってきてね?」



今にも泣きそうな表情をしてる綾女。



その言い方、私が死ににいくみたいじゃんか。



綾女の手をギュッと握る。



大丈夫だよ、なんて言える保証ないけど……



「…行ってくるね……」



綾女を真っ直ぐに見つめる。



今はこれしか言えない。



でも必ず先輩を助けてくるから……



綾女の手を離し、私は根元さんの後を追いかけた。



武井先輩……どうか無事でいてください。


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