だんご虫ヒーロー。



「…りかちん、私達どうなっちゃうの?怖いよ〜……」



早苗はブルブル体を震わせて、アタシに抱きついてきた。



花織はそんなに変わりないけど、握られた手が冷たい。



こんな場面初めてだから、そりゃ怖いよな。



周りの店員を見ても、ビクビク怯えていて犯人に従っている。



このままだと誰か逃げようとして、傷つくのは目に見えてる。



そう思った瞬間、あたしは行動に出ていた。



早苗と花織の方を向き、2人の手を握る。



「…早苗、花織、よく聞いて。人質以外の客と店員をあの非常出入り口から犯人に気付かれずに逃がす。
その誘導を2人にして欲しい」



犯人に気付かれないように小声で話す。



あたし達の近くには非常出入口があって、そこから腰を低くして行けば商品棚や机に隠れて逃げられそうだった。



「…偶然にも非常出入口付近に客が固まってる。
反対側の非常出入口もだ。

アタシが犯人の目線を逸らすから、アンタ達は犯人の向いてる反対側の非常出入口から客を逃がすんだ」


「…ちょっと待って。じゃありかはどうするの?まさか犯人と対峙するなんて言わないわよね?」



落ち着いている花織が眉間にシワを寄せてアタシを見る。


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