だんご虫ヒーロー。



アタシは物心ついた時には親がいなかった。
孤児として施設で育てられ生きてきた。



ある日、先生達が話してるのを盗み聞きして、アタシが捨てられたということを知った。



施設の前に段ボールに入れられて捨てられたんだとさ。



ほんと、笑えた。



だって捨てられたってことは、アタシは"要らない"ってことだろ?



この世で息をしてても意味がないってことだろ?



この世から消えようかと思ってた時、施設に早苗がやって来た。



5歳だった早苗は両親が離婚して、どっちも早苗を引き取ることなく施設行きになった。



何もかもを失くしたような、死んだ目をしてた。



そのわりにはよく泣いて、同室になったアタシが励ましていた。



『親がいただけ、幸せなんだよ?』なんて励ましにもならないことを言って、いつも早苗の傍にいた。



早苗のことをほっとけなかった。



親がいなくなった早苗の気持ちは分からなかったけど、孤独の寂しさは分かるから。


< 394 / 554 >

この作品をシェア

pagetop