だんご虫ヒーロー。
アタシは物心ついた時には親がいなかった。
孤児として施設で育てられ生きてきた。
ある日、先生達が話してるのを盗み聞きして、アタシが捨てられたということを知った。
施設の前に段ボールに入れられて捨てられたんだとさ。
ほんと、笑えた。
だって捨てられたってことは、アタシは"要らない"ってことだろ?
この世で息をしてても意味がないってことだろ?
この世から消えようかと思ってた時、施設に早苗がやって来た。
5歳だった早苗は両親が離婚して、どっちも早苗を引き取ることなく施設行きになった。
何もかもを失くしたような、死んだ目をしてた。
そのわりにはよく泣いて、同室になったアタシが励ましていた。
『親がいただけ、幸せなんだよ?』なんて励ましにもならないことを言って、いつも早苗の傍にいた。
早苗のことをほっとけなかった。
親がいなくなった早苗の気持ちは分からなかったけど、孤独の寂しさは分かるから。