だんご虫ヒーロー。



犯人の足元に転がってきたのは、煙幕だった。



みるみるうちに煙が室内に充満していく。



「うあ!なんだ!くそ!何も見え……」



ぐあっ!



犯人が苦しむ声が聞こえた。



そして漫画の効果音みたいな人を殴る音が聞こえた。



一体何が起こってんだ……



すると聞こえてきたのは聞き覚えのある、イライラする声。



「…武井先輩、大丈夫ですか!?」



煙幕のせいで姿が見えないけど、誰かすぐに分かった。



「……なんでここにいんだよ、だんご虫」



煙が消えてきて段々見えてきたのは、ムカつくだんご虫の顔。



体を支えられて、起き上がる。



アタシの意識があるのに安心したのか、ふっと微笑んだ。



なんでこいつがここに来てんだよ。



それは犯人を押さえてる時雨を見て、すぐに分かった。



あいつ、だんご虫(これ)に余計なこと言いやがったな。



そう思った瞬間に、アタシは意識を手放した。


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