だんご虫ヒーロー。
カコンッ
いい音をたてて柄杓が夕里の頭に命中。
夕里はその勢いで地面に尻もちをついた。
柄杓が飛んできた方を見ると、金髪のポニーテールの女性が苛立ちを露わにしていた。
「…ちょっと!ヒトの店の前でイチャつかないで!それに李ちゃん嫌がってるでしょうが!」
女性はもう一度柄杓を持ってパコンと夕里の頭を叩いた。
夕里は苦笑いして叩かれた頭を撫でている。
ここで気になるのは、女性はどうして私の名前を知っているのか。
スラッと背が高く、モデル並みにスタイルのいい女性。
「…痛っ…ちょっとは見逃してよ、美夕姉(みゆねえ)」
…美夕姉?もしかして……
「…お、お姉さん!?」
驚いた。
夕里にこんな美人なお姉さんがいたなんて聞いてなかったから。
女性はニコッと笑顔で私を見て、手を差し伸べた。
「…初めましてよね?夕里の姉の芹田美夕紀(せりたみゆき)です。美夕紀って呼んでね?」
笑顔が夕里とすごく似ている。
夕里が女の子になったみたい。
そう思ってしまうほどに似ている。
私は微笑んで、美夕紀さんの手を取った。