だんご虫ヒーロー。
お預け
夕里の部屋の全身鏡で一周してみる。
回る私に合わせて、髪もサラサラと靡く。
胸下まであった私の髪は肩につくくらいまで短くなった。
途中まで夕里が切ってくれたけど、危なっかしいと言って美夕紀さんが最後まで切ってくれた。
『未熟者のあんたは最後まで切る資格ない!』なんて夕里に言ってたな。
本当は夕里に全部切って欲しかったけど、それは未来までのお預けになってしまった。
それでもすごく満足してる。
未来の夕里に切ってもらえるって思うだけで、すごくワクワクするから。
あれから夕飯を美夕紀さんを入れて3人で食べて、私は美夕紀さんと一緒にお風呂に入った。
美夕紀さんはお風呂で夕里の子供の頃の話とか聞かせてくれて、すごく楽しかった。
夕里は昔は泣き虫だったとか、中学生になったら急にチャラくなったとかいろいろ聞いた。
夕里が泣き虫だったのには驚いたけど、私と案外似てるんだなって思って共感できるものがあった。
そして今は夕里がお風呂に入ってる。
美夕紀さんは店の片付けとか売り上げの計算があるといって、店にこもりっきり。
つまり夕里がお風呂から上がれば、私達は二人っきり。