だんご虫ヒーロー。



というか我ながらすごいことを言ってる気がしてきた。



『私をあなたのものにして』だなんて、普通は色気ムンムンのナイスバディのお姉さんみたいな人が言うセリフ。



こんなちんちくりんの私が言う日がくるなんて……



しかも両手を広げて、いかにも誘ってるように。



私は両手を広げたまま、夕里はそんな私を見つめたまま。



この手を下げるタイミングを失って、私の両腕は宙をさまよっている。



しかも夕里は何も返事をしてくれない。



これはちょっとやり過ぎ?
それともこんな私が誘ったから、一気に冷めた?



しばらくして夕里は部屋の電気のスイッチを押して、部屋の電気を消した。



やっぱり無意味だったか。



そうだよね。
私もいきなりこんなこと言うから、それが余計に不安にさせちゃうことだってあるよね。



どうすることも出来ず、寝ようと手を下ろした瞬間。



「……っ!!」



私は夕里にキスされていた。


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