だんご虫ヒーロー。



訳も分からず、とにかく深いキスをされている。



「…ゆ、ゆう……っ…」



名前を呼ぼうにも唇を啄ばまれ、上手く話せない。



キスの勢いに溺れてベッドに再び倒れる。



それでもまだ続くキスの嵐。



これ以上は息が続かなくなってきて、夕里の肩を叩く。



するとやっと唇が離れてくれて、代わりにギュッと抱き締められた。



「…やっぱすごいな、李は」


「……え?」



私を抱き締めたまま、嬉しそうに言う夕里。



すごい?この私が?
特にこれといってすごいことしてないけど……



したことと言えば、夕里を誘ったことくらい……



「自分で自分を言い聞かせても何一つ安心出来なかったのに、李の一言を聞いただけで心底安心してる。

李が怖がらなくていいんだよって言うだけで、大丈夫だって思った。
やっぱり李が一番だ」



ニコッと笑って私を抱き締める、夕里。



私も同じなんだよ?夕里と。



夕里の言葉を聞くだけで、夕里の笑顔を見るだけで、私は安心するんだ。



こうやって夕里が傍にいて、寄り添っているだけで私は私でいられる。



夕里のさっきの笑顔を見て、私も安心したよ?



離れ離れになっても大丈夫だって。


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