だんご虫ヒーロー。



夕里は私の腰に手を回したまま、私をまっすぐに見つめた。



「…でも李を全て手に入れるのは、今はやめとく。
俺が一人前になって、李の前で胸を張れるような男になったら、李を全部貰いにいく。それまでは……」



ちゅっ



首筋を強く吸われ、チクッとした痛みが走った。



これはもしかして……



「…これで我慢しとくよ」



ふっと微笑む夕里は艶かしくて、月明かりが夕里の濡れた唇を照らしている。



が、我慢って……
これだけでも私には十分過ぎるくらいだよ。



体内の水分が沸騰してるんじゃないかと思うくらい体が熱い。



上目で夕里を見つめると、夕里の頬は赤く染まった。



「…そんな風に見つめられたら、止まらなくなるだろ……!」



私の唇に吸い込まれるように、夕里はまた私に口付けを落とす。



それは唇だけじゃなくて、首筋や胸元、指先へと下りていった。



こうして別れの前の夜は夕里と数えきれないほどの口付けと共に更けていった。


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